補助って、どんな制度?
軽度の精神上の障害(認知症(にんちしょう)知的障害(ちてきしょうがい)精神障害(せいしんしょうがい)など)により,判断能力(はんだんのうりょく)の不十分な方を保護・支援するための制度です。この制度を利用すると,家庭裁判所(かていさいばんしょ)審判(しんぱん)によって,特定の法律行為(ほうりつこうい)について,家庭裁判所(かていさいばんしょ)が選任した補助人(ほじょにん)同意権(どういけん)取消権(とりけしけん)代理権(だいりけん)を与えることができます(※)。
ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,補助人(ほじょにん)の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。
補助人(ほじょにん)同意権(どういけん)代理権(だいりけん)を与えるためには,自己決定の尊重の観点から,当事者が,同意権(どういけん)代理権(だいりけん)による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判(しんぱん)の申立てをしなければなりません。この申立ては,補助開始(ほじょかいし)審判(しんぱん)とは別のものです。なお,補助(ほじょ)に関するこれらの審判(しんぱん)は,本人自らが申し立てるか,本人が同意している必要があります。


補助」制度を利用した事例

 補助開始事例(ほじょかいしじれい)
ア 本人の状況:軽度の認知症(にんちしょう)の症状 
イ 申立人(もうしたてにん):長男 
ウ 補助人(ほじょにん)申立人(もうしたてにん)
エ 概要(がいよう)
 本人は,最近米を()がずに炊いてしまうなど,家事の失敗がみられるようになり,また,長男が日中仕事で留守の間に,訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所(かていさいばんしょ)補助開始(ほじょかいし)審判(しんぱん)の申立てをし,併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与(どういけんふよ)審判(しんぱん)の申立てをしました。
 家庭裁判所(かていさいばんしょ)の審理を経て,本人について補助(ほじょ)が開始され,長男が補助人(ほじょにん)に選任されて同意権(どういけん)が与えられました。その結果,本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には,長男がその契約(けいやく)を取り消すことができるようになりました。
 (注)最高裁判所(さいこうさいばんしょ)成年後見関係事件(せいねんこうけんかんけいじけん)概況(がいきょう)」から」

補助人をつけるには、どうしたらいいの?
「申立てのできる人」が、本人の同意を得て、家庭裁判所に「補助人をつけてください」「補助人に○○についての同意権を与えてください」「補助人に○○について代理権を与えてください」という申立てをします。同意権か代理権のいずれか一方の付与申請が必要です。
申立手続についてわからないことがあれば、お気軽にご相談ください
当事務所が誠心誠意、支援させていただきます。
家庭裁判所の審判で「補助人」が選任されますと、本人は「被補助人」と呼ばれます。
*申立てのできる人*
本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、成年後見人、成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、検察官、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人、市町村長


補助人は何をしてくれるの?
同意権・取消権 補助人には、申立の範囲内で家庭裁判所が定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)について同意権が与えられます。但し、本人の同意が必要です。
本人が、あらかじめ補助人の同意を得ないで、上記「特定の法律行為」をした場合には、この法律行為を取り消すことができます(取消権)。その行為は取り消されるとはじめからなかったことになります。取消権によって悪質商法等から守られます。
(注:クーリングオフとは別の強力な保護制度です)
代理権 本人に代わって契約などの法律行為をする権限です。
補助人には、申立ての範囲内で家庭裁判所が定める「特定の行為」(民法13条1項所定の行為に限られませんが、全面的な代理権付与はできません)について代理権を与えることができます。但し、本人の同意が必要です。
身上配慮義務 補助人には、補助の事務を行うに当たっては、被補助人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮する義務があります。

民法第13条1項所定の行為とは
(同意が必要な行為)
1.元本を領収すること、これを利用すること
2.借金すること、保証すること
3.不動産その他の重要な財産に関する権利を得ることや失うこと
4.原告として訴訟行為をすること
5.贈与をすること、和解すること、仲裁契約をすること
6.相続を承認すること、相続を放棄すること、遺産分割をすること
7.贈与を断ること、遺贈を断ること、負担付贈与を受けること、負担付遺贈を受けること
8.新築、改築、増築、大修繕をすること
9.土地について5年以上の賃貸借をすること、建物について3年以上の賃貸借をすること



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